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全身型重症筋無力症患者へのソリリス®投与における質問集(FAQ)
ソリリス®投与に関するよくある質問をまとめました

投与方法

ソリリス®はどんな患者さんに投与すればよいですか?

抗AChR抗体陽性で免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な全身型MGの患者さんに投与してください。

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抗AChR抗体を測定せずに投与してもよいですか?

投与できません。 全身型MGに対するソリリス®の臨床試験(C08-001試験、REGAIN試験、REGAIN継続試験、ECU-MG-303試験)は、抗AChR抗体陽性の患者さんを対象に実施されました1-6)。抗AChR抗体陽性でないMG患者を対象としたソリリス®のエビデンスは十分ではないため、ソリリス®の投与前には抗AChR抗体を測定し、抗AChR抗体が陽性であることを確認してください。

引用 1)社内資料:海外第Ⅱ相臨床試験(C08-001)(承認時評価資料) 2)社内資料:第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検比較臨床試験(ECU-MG-301)(承認時評価資料) 3)Howard JF Jr, et al. Lancet Neurol 2017; 16: 976-986. [利益相反:本試験はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の支援のもと実施されました] 4)社内資料:第Ⅲ相ECU-MG-301継続試験(ECU-MG-302)(承認時評価資料) 5)Muppidi S, et al. Muscle Nerve 2019; 60: 14-24. [利益相反:本試験はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の支援のもと実施されました] 6)社内資料:第Ⅲ相ECU-MG-303試験(承認時評価資料)

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ソリリス®はどのように投与・調製すればよいですか?

【投与方法】 MGに対するソリリス®の用法及び用量は、以下のように定められています。

【用法及び用量】(抜粋) 通常、エクリズマブ(遺伝子組換え)として、下記の用法・用量で点滴静注する。

 

年齢又は体重 導入期 維持期
18歳以上 1回900mgを週1回で計4回 初回投与4週間後から1回1200mgを2週に1回
18歳未満
40kg以上 1回900mgを週1回で計4回 初回投与4週間後から1回1200mgを2週に1回
30kg以上40kg未満 1回600mgを週1回で計2回 初回投与2週間後から1回900mgを2週に1回
20kg以上30kg未満 1回600mgを週1回で計2回 初回投与2週間後から1回600mgを2週に1回
10kg以上20kg未満 1回600mgを週1回で計1回 初回投与1週間後から1回300mgを2週に1回
5kg以上10kg未満 1回300mgを週1回で計1回 初回投与1週間後から1回300mgを3週に1回

原則として、ソリリス®投与開始の少なくとも2週間前までに髄膜炎菌に対するワクチンを接種してください。 免疫抑制状態の患者さんに対しては、髄膜炎菌ワクチン(ACWY 型)を第1 期接種として8週以上間隔をあけて2 回接種すること、また5 年ごとに追加接種することが推奨されています1,2)。 また、小児へのソリリス®投与に際しては、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型に対するワクチンの接種状況を確認し、未接種の場合にはそれぞれのワクチンの接種を検討してください。 【調製方法】 ソリリス®は以下の手順で調製し、調製後、微粒子及び変色がないか、目視検査を行ってください。(変色、異物、その他異常を認めたものは使用しないこと。)

  • 1) 滅菌シリンジでバイアルから全量を抜き取り、必要量を点滴バッグ等に注入する。
  • 2) 日局生理食塩液、日局ブドウ糖注射液(5%)又は日局リンゲル液を点滴バッグ等に添加し、本剤を5mg/mLに希釈する。(希釈した液の容量は本剤300mgの場合60 mL、600mgの場合120mL、900mgの場合180mL、1200mgの場合240mLである。)
  • 3) 希釈した液を含有する点滴バッグ等を静かに倒立させるなど、緩やかに溶解し、混和する。(抗体タンパクが凝集するおそれがあるため、決して激しく振らないこと。)
  • 4)調製後、微粒子及び変色がないか、目視検査を行うこと。(変色、異物、その他異常を認めたものは使用しないこと。)
  • 5) 調製後、希釈した液は速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存する場合は、希釈した液は2~25℃で保存し、24時間以内に使用すること。
  • 6) 希釈した液を投与前に室温になるまで放置すること。(加熱しないこと。)

 

<ソリリス®の調製方法(例:点滴バッグの場合)>
ソリリス®の調製方法(例:点滴バッグの場合)

ソリリス®の調製・投与法をまとめたパンフレットがあります。ご参照ください。

引用 1) 医療関係者のためのワクチンガイドライン第3版 http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/vaccine-guideline_03-5.pdf(2023年7月アクセス) 2) General Best Practice Guidelines for Immunization: Best Practices Guidance, Altered Immunocompetence, P123-148. https://www.cdc.gov/vaccines/hcp/acip-recs/general-recs/downloads/general-recs.pdf(2023年7月アクセス)

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髄膜炎菌ワクチンの接種を行わずにソリリス®の投与は可能ですか?

ソリリス®の投与により、髄膜炎菌感染症を発症することがあり、死亡例も認められています。 このため、緊急な治療を要する場合を除いて、原則、本剤の投与の少なくとも2週間前に髄膜炎菌に対するワクチンを接種してください。なお、免疫抑制状態の患者さんに対しては、髄膜炎菌ワクチン(ACWY 型)を第1 期接種として8 週以上間隔をあけて2 回接種すること、また5 年ごとに追加接種することが推奨されています1,2)。 なお、全身型MGに対するソリリス®の臨床試験(C08-001試験、REGAIN試験、REGAIN継続試験、ECU-MG-303試験)3-8)は、髄膜炎菌ワクチン接種下で実施されました。

引用 1) 医療関係者のためのワクチンガイドライン第3版 http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/vaccine-guideline_03-5.pdf(2023年7月アクセス) 2) General Best Practice Guidelines for Immunization: Best Practices Guidance, Altered Immunocompetence, P123-148. https://www.cdc.gov/vaccines/hcp/acip-recs/general-recs/downloads/general-recs.pdf(2023年7月アクセス) 3)社内資料:海外第Ⅱ相臨床試験(C08-001)(承認時評価資料) 4)社内資料:第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検比較臨床試験(ECU-MG-301)(承認時評価資料) 5)Howard JF Jr, et al. Lancet Neurol 2017; 16: 976-986. [利益相反:本試験はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の支援のもと実施されました] 6)社内資料:第Ⅲ相ECU-MG-301継続試験(ECU-MG-302)(承認時評価資料) 7)Muppidi S, et al. Muscle Nerve 2019; 60: 14-24. [利益相反:本試験はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の支援のもと実施されました] 8)社内資料:第Ⅲ相ECU-MG-303試験(承認時評価資料)

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成人において他のMG治療薬(抗コリンエステラーゼ薬、経口ステロイド薬、カルシニューリン阻害薬、IVIg、エフガルチギモド アルファ)とソリリス®は併用してもよいですか?

成人において他のMG治療薬とソリリス®の併用は可能です。全身型MGに対するソリリス®の臨床試験(C08-001試験、REGAIN試験、REGAIN継続試験)は、全患者が試験期間中に併用薬を使用していました1-5)。 しかしながら、全身型MG患者に対し、人免疫グロブリン製剤又はエフガルチギモド アルファとの併用投与によって、本剤の血清中濃度が低下することがあります。 人免疫グロブリン製剤又はエフガルチギモド アルファと本剤を併用する場合には、患者の状態を十分に観察してください。

<併用注意 (併用に注意すること)>
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
人免疫グロブリン製剤 (ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン等) 人免疫グロブリン製剤との併用投与によって本剤の効果が減弱するおそれがあるので、併用する場合には、本剤の補充投与を考慮すること。 人免疫グロブリン製剤との継続的な併用投与により、本剤の血清中濃度が低下する可能性がある6-8)
エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え) 本剤の効果が減弱するおそれがあるので、本剤による治療を開始する場合には、エフガルチギモド アルファのサイクル投与における最終投与から2週間後以降に投与することが望ましい。 エフガルチギモド アルファにより、本剤を含む胎児性Fc受容体(FcRn)に結合する薬剤の血清中濃度が低下する可能性がある。

本邦では一部のIVIgにはMGの適応はありません。

引用 1)社内資料:海外第Ⅱ相臨床試験(C08-001)(承認時評価資料) 2)社内資料:第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検比較臨床試験(ECU-MG-301)(承認時評価資料) 3)Howard JF Jr, et al. Lancet Neurol 2017; 16: 976-986. [利益相反:本試験はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の支援のもと実施されました] 4)社内資料:第Ⅲ相ECU-MG-301継続試験(ECU-MG-302)(承認時評価資料) 5)Muppidi S, et al. Muscle Nerve 2019; 60: 14-24. [利益相反:本試験はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の支援のもと実施されました] 6)Jin F, et al. Hum Immunol 2005; 66: 403-410. 7)Wang W, et al. Clin Pharmacol Ther 2008; 84: 548-558. 8)Fitzpatrick AM, et al. J Peripher Nerv Syst 2011; 16: 84-91.

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ソリリス®投与中に血液浄化療法を行った場合、投与量の調整は必要ですか?

血液浄化療法(透析を除く)によりソリリス®の一部が除去されることから、MG患者さんへのソリリス®投与中に血液浄化療法を施行する必要がある場合は、下表を参考にソリリス®の補充投与を考慮してください。なお。下表はシミュレーション結果に基づいて設定されたものですので、補充投与後は患者の状態を慎重に観察してください。

直近の本剤投与量 本剤の補充用量 補充投与の時期
血液浄化療法 300mg 1回につき300mg 施行後60分以内
600mg以上 1回につき600mg

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ソリリス®投与中に免疫グロブリン大量静注療法を行った場合、投与量の調整は必要ですか?

免疫グロブリン大量静注療法によりエンドソーム内の胎児性Fc受容体(FcRn)のリサイクリング機能が阻害される可能性があることから、MG患者さんへのソリリス®投与中に免疫グロブリン大量静注療法を施行する必要がある場合は、下表を参考にソリリス®の補充投与を考慮してください。なお。下表はシミュレーション結果に基づいて設定されたものですので、補充投与後は患者の状態を慎重に観察してください。

直近の本剤投与量 本剤の補充用量 補充投与の時期
免疫グロブリン
大量静注療法
600mg以下 1回につき300mg 施行直後
900mg以上 1回につき600mg

本邦では一部のIVIgにはMGの適応はありません。

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ソリリス®投与はいつまで続ければよいですか?

基本的にソリリス®は根治をする薬剤ではないため、リスクベネフィットを考慮し、投与継続の必要性をご判断ください。 なお、ソリリス®の全身型MG患者を対象とした臨床試験では、ほとんどの治療反応例で投与開始後12週までに症状の改善が得られていました。全身型MG患者で他の免疫抑制剤を併用している患者さんにおいては、髄膜炎菌感染症のリスクが高い可能性があることから、リスクベネフィットを考慮し、投与開始後12 週までに症状の改善が認められない患者さんでは、ソリリス®の投与中止を検討してください。

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ソリリス®を投与される患者さん及びそのご家族にはどのような説明をすればよいですか?

患者さん及びそのご家族には、「ソリリス®の効果」、「ソリリス®を使う前に確認すべきこと」、「ソリリス®の投与方法」、「ソリリス®投与中に気をつけなければならないこと」、「起こり得る副作用と主な症状」などを説明します。 特に注意喚起する必要があるのは、ソリリス®投与により、髄膜炎菌感染症、肺炎球菌感染症、インフルエンザ菌b型感染症などに罹患しやすくなることです。特に、髄膜炎菌感染症が発症した場合には急激に重症化し死亡に至ることがあります。 このため、本剤投与中の患者さん及びそのご家族に対しては、重篤な感染症に罹患する可能性及びそれに関連する以下の徴候、症状について説明し、患者さん及びそのご家族の意識を高めてください。

<髄膜炎菌感染症が疑われる注意が必要な症状> 初期症状は、以下のような一般的な風邪やインフルエンザの症状と区別がつきにくい場合があるので注意が必要です。 ・発熱 ・頭痛 ・吐き気、嘔吐 ・筋肉の痛み その他、髄膜炎菌感染症には以下のような症状があります。 ・錯乱(混乱して考えがまとまらない、物事を理解できない) ・うなじのこわばり(首の後ろが硬直しあごを傾けられない) ・発疹、出血性皮疹(赤や紫色の斑点状の発疹) ・光に対する過剰な感覚(光が異様にギラギラ輝いて見える、異常にまぶしく感じる等) ・手足の痛み


乳幼児においては、上記以外に下記の症状にも注意が必要です。 ・手足が冷たい ・顔色が悪い ・眠気、低緊張、無反応、目覚めにくい ・異常な泣き方、うめき、怒りっぽい ・触られるのを嫌がる ・抑えられない震え ・授乳/食事を嫌がる ・頭部のこわばり/膨らみ(通常軟らかい部分) ・呼吸促迫、呼吸困難

また、本剤投与中の患者さん及びそのご家族に患者安全性カードを渡して、常に携帯する必要があること、受診した医療従事者に提示する必要があることを説明してください。患者さん及びそのご家族には、患者安全性カードに記載の「髄膜炎菌感染症が疑われる注意が必要な症状」(上記)のいずれかを認めた場合や感染症にかかったかもしれないと思ったら、直ちに担当医師の診察を受けるよう指導してください。 なお、担当医師と連絡が取れない場合にはすぐに救急車を呼び、患者安全性カードを救急救命室のスタッフに提示するよう指導してください。

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